Claude Codeが「目」と「手」を持った。2026年3月末に出揃ったComputer Use、Channels、スケジュール実行の3機能を組み合わせると、「スマホからタスクを投げて、PCが勝手にデスクトップアプリを操作し、定期的に自動実行して、結果をTelegramに返す」という世界が見えてくる。研究プレビュー段階とはいえ、マネージャー業務との親和性は高い。
Computer Use: 3段階フォールバックの設計が秀逸
Computer Useは「Claudeがマウスとキーボードを動かす」という派手な機能だが、実装は意外と堅実だ。
3段階のフォールバック設計になっている。まずコネクタ(Slack、Gmail等のAPI統合)を試み、次にブラウザ制御(Chrome)、最後にスクリーン直接操作(マウス・キーボード・スクリーンショット推論)。つまりAPIがあるアプリはAPI経由で処理されるので速いし安定する。スクリーン操作はあくまで「最終手段」だ。
macOSが3月24日に先行し、Windowsは4月3日に対応。Pro/Maxプランのみで、研究プレビュー段階。デスクトップ起動必須で、アプリごとに明示的な許可が必要。投資取引プラットフォームはブロックされている——この辺りの制約は、「何でもできる」わけではないことを示している。
率直に言えば、現時点でComputer Useを業務に本格投入するのは早い。ただし、「GUIしかないレガシーツールの操作を自動化する」という可能性は非常に魅力的だ。社内の基幹システムがAPI非公開のWebアプリだったりする場合、Computer Useは唯一の自動化経路になり得る。
Channels: メッセージングアプリが操作窓になる
Channelsは2026年3月リサーチプレビューで公開された。Telegram、Discord、iMessageに対応し、双方向チャットでClaude Codeを操作できる。パーミッションリレー(リモートからツール承認)も可能で、「Telegramで操作指示 → PCが実行 → 承認が必要な場面でTelegramに通知 → スマホから承認」というフローが成立する。
Dispatchとの違いは、ChannelsがTelegram/Discord等の「既に使っているメッセージングアプリ」から直接操作できる点だ。Claudeのアプリに切り替える必要がない。日常の延長でAIエージェントを使えるのは、特に非開発者にとって心理的ハードルが低い。
スケジュール実行: 3つの選択肢
定期タスクの自動実行には3つの方式がある。
| 方式 | 実行場所 | PC起動 | 最小間隔 | 永続性 |
|---|---|---|---|---|
/loop | ローカル | 必要 | 1分 | セッション限定 |
| Desktop scheduled | ローカル | 必要 | 1分 | あり |
| Cloud scheduled | クラウド | 不要 | 1時間 | あり |
クラウドスケジュールは claude.ai/code/scheduled からWebで設定できる。GitHubリポジトリのデフォルトブランチからフレッシュクローンして実行し、結果を claude/ ブランチのPRとして返す。Mac miniやサーバーを用意しなくても定期実行が可能になった。
ただしクラウド方式はローカルファイルにアクセスできない。秘書システムの日次レポートのようにローカルMarkdownファイルを操作するタスクには、Desktop scheduled tasksの方が適している。
OpenClaw制限の影響
4月5日に発効したOpenClawサブスクリプション制限も見逃せない変化だ。OAuthトークンが公式Claude Codeクライアントのみにバインドされ、OpenClaw、NanoClaw等のサードパーティハーネスからのサブスク利用ができなくなった。
Boris Cherny(Claude Code責任者)の「サブスクはサードパーティの利用パターンを想定して設計されていない」というコメントが本質を突いている。Channels機能の充実で公式エコシステム内の選択肢が増えた今、サードパーティツールに頼る理由は減りつつある。ただし、既存のOpenClawユーザー向けに1回限りクレジットと追加バンドル最大30%割引の緩和措置が提供されている(4/17まで)。
自動化の「組み合わせ」を考える
これらの機能を単体で見ると「便利な新機能」だが、組み合わせると質が変わる。例えば:
- 日次PR監視: クラウドスケジュール(毎朝)で全PRのコメントを確認 → 対応が必要なものをTelegram Channelに通知
- レガシーシステム操作: Desktop scheduled + Computer Useで、GUIしかない社内ツールのデータを定期的に取得
まだ研究プレビュー段階の機能も多いが、方向性ははっきりしている。マネージャーとしては、今は各機能の制約を理解しつつ、「自分の業務で最も繰り返しが多い作業」を1つ選んで自動化してみるのが最善の一歩だと思う。小さく始めて、動くものを確認してから広げる——Computer Useもスケジュールも、その段階にちょうどいい成熟度にある。