ソースコード流出事件の裏で、Anthropic の開発チームは猛スピードでバージョンを刻み続けていた。3月29日から4月4日までの9日間で v2.1.89 → v2.1.90 → v2.1.91 → v2.1.92 と4バージョンをリリース。前回(3/28)の v2.1.85 からたった9日で7つもバージョンが進んでいる。
このペースそのものが、Claude Code のリリースサイクルがいかに速いかを物語っている。@oikon48 がまとめた数字では、2025年の10ヶ月間で59リリース・303 CHANGELOG エントリだったのが、2026年Q1(3ヶ月)で60リリース・869エントリと 2.9倍に加速 している。
個人ユーザーに嬉しい機能
/powerup(v2.1.90) は、Claude Code の「公式チュートリアル」だ。18レッスンがアニメーション付きで用意されていて、初級6・中級6・上級6に分かれている。チームに CC を展開するとき、「まず /powerup を一通りやって」と言えるのは大きい。
/cost の詳細内訳(v2.1.92) も地味に助かる。モデル別・キャッシュ別のコスト表示が入り、「今月いくら使ったか」が見えるようになった。サブスクユーザーにとっては消費ペースの可視化として有用。
Write tool の diff 計算が60%高速化(v2.1.92) 。タブ・&・$ を含む大規模ファイルで顕著に効く改善で、大きなコードベースで作業している人は体感できるはず。
エンタープライズが本気を出してきた
今回のリリースの真のテーマは「エンタープライズ対応の本格化」だろう。
Bedrock 対話型セットアップウィザード(v2.1.92) は、ログイン画面から AWS 認証・リージョン設定・認証情報検証・モデル固定までをガイドする。これまで Bedrock 経由の CC 導入は手順が煩雑だったが、ウィザード化でハードルが大幅に下がった。データ主権を気にする大企業にとっては朗報だ。
forceRemoteSettingsRefresh ポリシー(v2.1.92) は、起動時にリモート設定を強制更新し、失敗時は fail-closed(動作しない)にするオプション。IT 管理者が「全社員に同じ設定を強制する」ためのガバナンス機能で、これがないと大企業は採用しづらい。
MCP 結果永続化(v2.1.91) も見逃せない。_meta["anthropic/maxResultSizeChars"] で MCP ツールの出力を最大 500KB まで保持できるようになった。DB クエリの結果セットや API の大量レスポンスが途中で切れなくなり、実務的なユースケースが広がる。
まとめると
| カテゴリ | 主な機能 | バージョン |
|---|---|---|
| 学習・オンボーディング | /powerup 18レッスン | v2.1.90 |
| コスト管理 | /cost モデル別内訳 | v2.1.92 |
| パフォーマンス | Write diff 60%高速化 | v2.1.92 |
| エンタープライズ | Bedrock ウィザード | v2.1.92 |
| ガバナンス | forceRemoteSettingsRefresh | v2.1.92 |
| MCP | 結果永続化(最大500KB) | v2.1.91 |
| セキュリティ | disableSkillShellExecution | v2.1.91 |
| フック | PermissionDenied フック | v2.1.90 |
個人的に /powerup と Bedrock ウィザードのインパクトが大きいと感じている。前者はチーム展開の入り口として、後者はエンタープライズ導入の障壁を下げるものとして、それぞれ別の文脈で効いてくる。